もーりーの徒然

福島県出身の27歳。英語学習、海外、読書、野球。アウトプットの場所。

ウチダメンタル

僕はスポーツの中で野球をするのが一番好きだが、今となっては見る分にはサッカーもかなり好きだ。W杯の代表戦が気になるのはもちろん、世界で活躍する日本人選手ってものすごくカッコよく見える。特に5大リーグを含め海外で自立しながら生活・プレーしている選手が試合後のインタビューを現地語で話しているのを見るとぐっとくる。

さて、そんな日本のサッカー界を報道ステーションなどで分かりやすく解説してくれるのが内田篤人さんだ。現役時代サイドバックで活躍していたのは知っているが、むしろ引退後に非常に落ち着いた雰囲気で話をしてくれるので、サッカーファンとして内容が入ってきやすい、そんな印象の方だ。

今回は彼がメンタルについて書いた本『ウチダメンタル~心の幹を太くする術~』について書いていく。

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まず公私いずれにしても「メンタルが安定しているのは良いこと」に異論はないだろう。メンタルが不安定だとパフォーマンスが安定しないから結果も出にくいし、周囲も顔色を窺わざるをえない。そういう意味ではW杯の解説時も内田さんは醸し出す空気が一定だったし、メンタルをどう捉えているのか気になって読んでみた次第だ。

内田さんはメンタルを強い、弱いという風に捉えていないらしい。彼はメンタルを「上下(じょうげ)」でとらえているようだ。例えばメンタルが強いサッカー選手として良く例えられる本田圭佑や現代表なら堂安律なんかはメンタルが上で常に位置していると考えられる。一方で遠藤保仁や著者の内田さんなんかは常時下にあるらしい。いずれにしてもメンタルを上でも下でも振れ幅小さく保っていられることが大切という解釈だ。

なるほど、と納得のいく内容であるがここまではメンタルをどう捉えているかの話。でも誰しも気分が下に行くときはあるわけで、そこでどうするかが重要だ。内田さんはメンタルがぶれやすい人の特徴として真っ先に挙げていたのが「やらなきゃいけないことを作る人」と述べている。

これは僕自身にとても当てはまっている気がしていて、行動基準として、自分の部屋は片付いているべき、自炊すべきといったべき論が明確にある。でもあんまり調子が良くないとき、忙しいときなんかは結構部屋が散らかったり、だらっと家でYouTubeを眺めているだけの時も多々あるのだ。以前まではだらけてしまっても無理に「しゃきっとせねば!」としていたが、最近は「まぁいっか、とりあえず好きなように過ごそう」と一旦流れに身を任せることで、次の日くらいには前向きなエネルギーが湧いてくることが多い。

特に今年は環境も変わってうまくいかないこともたくさんあるんだろうけれど、あんまり一つ一つの出来事に一喜一憂することなく、長い視点を携えてメンタルの上下を減らしていきたいと思う。

東京マラソン完走記

3/3(日)に行われた国内最大級のマラソン東京マラソンに参加してきた。今回はその振り返りをしていきたい。

1.なんて贅沢なんだ

今回の東京マラソンは自分にとって初のフルマラソン。公式には高校のマラソン大会の10kmが最長だし、練習でも20kmまでしか走っていなかった。そもそもそんな自分が当選したことはかなり運が良かったと言える(倍率は10倍越えといわれていて、沿道でおじさんが持っていたプラカードに「僕は17回落選しました」と書かれていたのを見たときは罪悪感を抱いてしまった)。

出場が決定してからは少しずつ練習を行い、道具もそろえていざ東京へ。レース前日はビッグサイトで出走エントリーがあった。会場ではEXILE THE SECONDの大会イメージソングが流れており、アシックスや大塚製薬といった本大会のメインスポンサー、及びスポーツサプライヤーが出店しており、お祭り騒ぎだった。

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youtu.be

そんなこんなで前日までにしっかりテンションをあげて臨んだレース当日。

もともと山手線を1周してしまうほど街歩きが好きなのだが、あらためて今回この大都会東京のど真ん中を走り抜けることは何とも清々しかった。どれだけ都会かを説明するにはコース図を見てもらえば一目瞭然である。

都庁をスタートしてから東に下り、レースの中心は浅草から東京タワー、丸の内にいたるまで主に皇居の東側全体を駆け抜ける。38,000人が出走することもあり、コースも目抜き通りばかりだ。参加費は16500円と決して安くないのだが、これはぜひまた参加したいと思える、そんな心にも体にもエネルギーが満ち満ちたお祭りだった。

2.記録のこと

ラソンに魅せられてしまったので今後も自己記録更新を目指して出走することになるだろう。なので技術面についても振り返ってみる。

最終的なタイムは4時間22分08秒という記録だったのだが、5kmごとのラップを振り返ってみると後半に大きく失速したことが読み取れる。

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25km地点までは5kmを30分切るペースで安定していたが、25km以降急激に体が動かなくなり、歩行と走行を交互に行わないと前に進めなくなった。今後専門書などを読んで対策を進めていくが、前半を30分フラットに抑えたり、ジョグだけでなく強度の高いインターバル走を取り入れる、より計画的な栄養補給を行うなどして記録を伸ばしていきたい。

これからは最終的な目標としてサブ3.0を掲げ、まずは出場回数を増やすことでマラソンそのものに体を慣らし、近い目標にサブ4.0を目指していこうと思う。

2023年度大学入学共通テスト~英語~

今年度の共通テスト、英語を時間を測って解いてみた。今回はその講評回だ。ちなみに現在の英語はリーディングとリスニングそれぞれ100点ずつの計200点で成績が出る。

まずは私の結果からお伝えしよう。

リーディング:74/100(平均51.4点)

リスニング:88/100(平均67.2点)

計:162/200(平均118.6点)

4月から教員をやる身として8割の出来というのはいささか恥ずかしい、、。が、とにかくそれぞれの科目について講評したうえで感想を述べる。

 

◎リーディング

読者の皆さんは現在のリーディング問題の総ページ数をご存じだろうか。なんと、40ページもあるのだ。およそテスト問題とは思えないような冊子を受験生たちは駆け足でめくり続ける必要があり、とにかく文章量が多い。私も最近速く読むトレーニングを行ってはいないが、それにしてもまさか最後の問題までたどり着かなかったことに驚いた。

そして問題の大半は「読解力」というより、大抵はパンフレットや本文の流れを図表にまとめる「情報収集力」とでも言うような力を試される。語彙のレベルはかなり低く設定されており、受験生でも知らない単語はごくごく限られているため、とにかくものすごいスピードで読み進めていく力が求められている。ちなみに今年度の平均53点は過去最低点だったらしい。

 

◎リスニング

こちらは大きな特徴が無く、資料の空所を埋めたり図や表、問題文を先読みして聞きながら回答していく形式。平均点も過去最高だったようで、受験生によっては満点近くをとることも可能だったはずだ。

しいてあげるなら第5問が異常に難しかった。問27~33までの7問のうち4問を誤答と大苦戦。一連の音声から複数回答しなくてはならず、私のように聞き取れなくてやや思考停止に陥ると大怪我する問題だった。この第5問以外の誤答は1問のみだったため、全体を見ても顕著に難しかったと思う。

 

◎感想

8割どまりで話せることはあまりないのだが、下記の通り。

・R,L それぞれの問題密度を考えると1:1の比率は適当と言えない。時間もリーディングが80分に対してリスニングが40分なので、現状の形式なら2:1ぐらいの点数配分が妥当か。

・将来的にはライティングとスピーキングも導入してTOEFL同様、R:50、L:50、W:50、S:50が4技能バランスを考えても妥当。発信技能育成を普段の授業で学校が導入するためにも共通テストからの変革が必要と感じる。

 

受験生の皆さん、お疲れさまでした!

ロンドン旅行~プレミアリーグ~

ロンドン旅行最終回は、イングランドプレミアリーグの観戦模様をお伝えする。今回の旅行で私がどうしても見てみたかった観光の目玉だ。

滞在中は家族でまとまって回っていたのだが、この時は離団して電車を40分ほど乗り継いで会場まで一人で見に行ってきた。(ちなみにチケットは日本国内にいる間にオフィシャルサイトから購入した。入手は普通席を売り出しのタイミングで申し込んだが叶わず、何度も粘ってシーズンシートがリセールに出されたタイミングで1万円弱で購入できた。)

試合は Christal Palace vs  Brentford の第20節。ロンドン市街地から少し外れにあるパレスの本拠地、Selhurst Park スタジアムが会場だった。この2チームは今シーズン降格圏脱出を争っているが、そこは腐っても鯛、プレミアリーグという世界最高峰のサッカーのレベルの高さや熱気はすさまじいものだった。

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席は本来シーズンシートということもあって、ベンチ裏の前列10番目と最高のポジション。選手一人一人の表情も良く見えるしピッチ上の迫力も満点。これもBIG6と言われるような名門の試合だと選手たちを遠くから眺めるのが精いっぱいだし、ローカルチームを観戦する大きなメリットといえる。

www.youtube.com

試合は開始早々ブレントフォードが1点リードしたが、パレスもホームの声援を背に巻き返し、終わってみれば3-1の快勝でサポーターも大盛り上がりだった。

素人目とはいえボールとは思えないほど、芝の上を滑るようにパスは流れ、選手たちの胸板の厚みには驚いた。サッカー選手がこんなに屈強なフィジカルをしているとは知らなかったし、トップスピードに乗ったときに一気に駆け上がる姿も迫力があった。そして何より現在サムライブルーで活躍している遠藤や冨安、三苫といった日本人がこの舞台で活躍していることを誇りに思ってしまうほどレベルの高さに惚れ惚れしたのだった。

地元のファンはそれはそれは熱狂的で、野球でいえば阪神ファン?くらいの熱量で、良いプレーをした選手には拍手を送ったり、逆に悪質なファールやVARが長引いたりすると詰るようなチャントやヤジが飛ぶなど終始興奮気味。なんなら帰りの列車は6人が3-3で向かい合うような席に座っていたのだが、知らない人同士で反省会をする姿があちこち見られた。

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後日グッズが欲しくなって店に行くと、パレスのお土産はなく、、。地元でも有名なリヴァプールトッテナムアーセナルチェルシーで埋め尽くされていた。ロンドンの中でも名高い名門がやはり人気のようだ。

 

以上、3度にわたってロンドン旅行をお伝えしてきたが総じて気苦労なく便利で歴史や観光地も申し分ない街だった。イギリスもイングランド以外にアイルランドや北部にはまた違った良さがあるはずなので、いつか行ってみたいと思っている。

ロンドン旅行~観光地~

ロンドン旅行の第2回は観光地について。

軒並み主要な観光地は周れたが、今回は王道の二か所をピックアップしてみた。というのもその知名度もさることながら、実際に訪れた際の印象が非常に強かったからだ。

1.ウェストミンスター寺院

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イギリスを語るとき、王室は避けては通れないほど象徴的な存在だ。特に先のエリザベス女王崩御された際には国内のみならず世界が悲しみに包まれたし、旧ダイアナ妃の事故やヘンリー王子の王室脱退等、その一挙手一投足には大きな影響力がある。そんなイギリスの「王室の教会」にあたるのがウェストミンスター寺院。ここでは昨年行われた現チャールズ王子の戴冠式や、国葬といった特別な式典が催される。

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また、イギリスの発展に寄与した歴代の王や文化人のお墓も存在し、シェイクスピアやジェーンオースティンといった英文学の主役達もここに眠っている。

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外から見る以上に中は天井が高く、多くの部屋に仕切られており、大変細やかで豪華な装飾が施されている。あらゆるところに歴代の王が眠っている点が、王室の歴史の深さを物語っていた。

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2.大英博物館

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世界中から集まったありとあらゆる歴史的建造物が収蔵されており、高校で学んでいた世界史の実物がギュッと凝縮された空間であった。地域や年代ごとにエリアが分かれており、じっくり見ようと思ったら1週間じゃ足りないと言われているのも納得だ。

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ロゼッタストーン


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🇪🇬ラムセス2世


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🇬🇷パルテノン神殿

そしてなんと博物館は無料で入場することができ、チケット購入時に好きな金額を寄付できるというスタイルだ。これは大英博物館に限らず、ロンドン周辺にある他の博物館や美術館も同様のようで、イギリス政府が教育的価値あるものへの補助金を拠出している。

街並みについては前回も述べたが、文化や歴史を大切にするイギリスの価値観というのは素晴らしいと思うし、こうしたところからも過去から現在にかけても世界をリードしてきた国の懐の深さを実感したのだ(一方上野にある国立科学博物館は貯蔵品管理のための設備費をクラウドファンディングに頼らねばならなかった、、)。

そしてお土産コーナーももちろん充実。何しろ世界と歴史に関するありとあらゆるものが揃っているから本当に選ぶのが難しい。訪れたのが旅行の初日ということもあって、やや買い控えてしまったが、これほどまで何を買おうか迷ってしまう時間もまた、充実していた。

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扉窓で楽しみながら🇬🇧の歴史を学べる絵本を買ってみた。

ロンドンの観光地はその他ビッグベンやタワーブリッジなど挙げればキリがないのだが、今回は特に印象に残ったものを挙げてここまで。最終回の次回はイギリスが世界に誇るあのスポーツについてお伝えする。

ロンドン旅行~街のあれこれ~

12/27~1/3にかけてイギリスのロンドンに家族で旅行に行ってきた。

個人的にはコロナ禍後初の海外、初の欧州、そして久しぶりの英語圏ということで大変楽しみにしていた旅行である。期間中は普通海外で経験するはずの厄介ごとに巻き込まれることもなく、スムーズで最高な年越しであった。

ここでは旅の模様を3回に分けてお届けする。1回目の今日は、街のあれこれを。

ラインナップ

1.とにかくオッシャレ~

2.ロンドンは今日も雨だった

3.気になるお食事

4.圧倒的便利都市

 

1.とにかくオッシャレ~

まず何といっても街並みが違う。これはヨーロッパに共通しているのかもしれないが、建物一つ一つがとても精巧につくられていて、歩いて眺めているだけでも飽きがこない。

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このような半地下付きの3階建てぐらいの住居が一般的。屋根には現在使われていないものの、暖炉から伸びる煙突がある。

人に関しては移民の多さに驚く。白人系の人は人口の半分程度に過ぎない。服装は体の線がよく出るスキニーやジーンズ姿がよく見られ、体系もぽっちゃりしている人が少なくそこはアメリカとの違いを感じた。

英語については、イギリス英語特有の母音が短くハキハキした印象があってかっこよい。アメリカ英語のような平たさが無く、外国語を話している感が強かった。滞在中は触発されてそれ寄りの発音になってしまうものだ。

 

2.ロンドンは今日も雨だった

誇張抜きでとにかく1日あればどこかで雨が降る。滞在中に雨が降らない日はなく、基本的にどんよりとした曇り空が上空を覆っている。

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イギリスでは傘を差さないという話は、旅行前から聞き知っていたがそれも大方当たっているように思う。本当に30分に一度くらい天気が変わるのだが、日本のようなザーザーぶりにはならずに、ぽつりぽつりと降る程度だ。だから、皆さんNorth Faceといったレインコートなどを着用し、振ってきたらフードを被るといった対策であった。

ちなみにこの時期の日照時間は8時~16時と短い。それもそのはず、高緯度地帯のロンドンは日本付近だと樺太中部に相当するらしい。その分夏場は22時近くまで太陽が出ているらしいが。住むことを考えるとちょーっと気がめいるかも。その分晴れ間がのぞけば虹を拝むチャンスも多いけれど。

 

3.気になるお食事

イギリス料理=まずい、というのは良く聞く話だが、実際のところそんなことはなかった。個人的見解としては例えば日本=寿司、のようにイギリス料理と言えば!みたいな食事がぱっと浮かばないだけな気がする。

よく聞くフィッシュアンドチップスからイングリッシュ・ブレックファストまで試したがどれも美味しい。アフタヌーンティーは行わなかったが、スコーンとミルクティーを楽しむクリームティーは優雅な朝に最適だった。

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結論、イギリス料理とは何か?を問われると、家庭にあるオーブンを活用してできる料理なのだと思う。その点パン食はバラエティに富んでいて特に朝ごはんには事欠かなかった。もちろん市街地にはアジアの麺類やインド料理を食べられるレストランもあるので不便に感じることはない。

最高だったのはPUB。日本でいえば居酒屋がそれにあたるだろうし、東京には方々にHUBという店があるが、それの本物で原型だ。

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カウンターでビールを注文し、運ばれてきたナチョスやスナックをつまみながら友人と仕事終わりに語らったり、テレビに映るダーツやラグビー、サッカーを楽しむことができる。普段英会話でお世話になっている東南アジア在住のイギリス人の先生も、故郷を離れて残念なのはPUBがないということ、と言っていた。納得。

 

4.圧倒的便利都市

ロンドンは東京よりもはるかにキャッシュレスが進んでいて、決済方法もほぼ統一されている。私は今回VISA付帯のタッチ決済をもって、バスや地下鉄をはじめとする公共交通機関からレストランの支払いまで完結した。1度だけ古いレストランに入った際キャッシュオンリーがあったが、それ以外はカード一枚あれば充分であった。

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これほどまでに便利だと逆に日本国内で現金からクレジットカード、ICカードQRコード、そして各サービス運営会社がばらばらというのは旅行者にとって大変不便だろうと思った。

 

というか、このことに限らずロンドンの古いものを大事にしながら、効率化できるところを変えている点で、さすがは世界と歴史の中心イギリス、と圧倒されたのであった。

熱心さゆえの教育幻想

『友だち幻想』著:菅野仁を読んで、興味深い章があった。【先生は生徒の記憶に残らなくていい】というタイトルだ。読み終わった後の納得感が強かったのだ。

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実はこの本、私の大学時代の恩師が授業中にプリントとして一部配布してくださったことがあり、そうとは気づかず買って読んでいた。が、この章を読んだときに、「あ、絶対読んだことある!」と気づいたのだ。それだけ当時の印象も強いものだった。

教員志望者の中には「子どもたちを育てたい!」と息巻き、自分の考えを伝えたい気持ちが非常に強い方が一定数いる。私は大学での教職課程を経て、そういう雰囲気がなんとなく苦手だったのだがその正体をこの本は示してくれた。

そもそも教師という漢字が好きになれない。例えば学校生活の指導者、職業的な呼び名といった位置づけに納得はするのだが、人生の先輩(本文の言葉を借りれば金八先生)のような捉え方が好きになれないのだ。自分のことを1人称で「先生は~」というのを聞いた日には一人ゾワッとしている。

これは「大人というのはそんなに偉いのか?」という小さいときに抱いていた疑問に基づく気がしている。今私は27歳で、学生から見れば大人の部類だが、考え方とか振る舞いは昔からあまり変わっていない。だから聞かれもしないのに教師―生徒という構図の中で自分論を生徒に説く行為に冷めた視線を送ってしまうのだ。

クラス担任を持つようになると、1年の間の200日くらいは生徒と顔を合わせるようになる。そうすると否が応でも生徒に多少の影響力がある立場で、教師本人が「伝えるんだ!」みたいな意欲が強すぎると、土足で他人の家に上がりこむような図々しさを覚えるのだ。当然指導員としての責任ある発言は不可欠だが、30人以上の個性集団に同じ方向を向かせようとする行為自体がそもそも怪しいと思っている。

情熱をもって授業準備からクラス作りまでしていくことは全く否定していないし、むしろそうであるべきだと思う。でもちょっと肩に力が入りすぎて、対生徒だけを考える教師になってしまうと、自分の考えに執着し、同僚や生徒の意見を取り入れられないような凝り性になる可能性がある。それは是非とも避けたい。

それより本章で言われているのは、学校というのはあくまで社会に出る前の準備段階という位置づけで様々な人と「共存」のトレーニングをする場であるということだ。友人であれば自分と趣味嗜好の合う者同士だけで関わればよいのだが、社会人となると好き嫌い問わず、適切な距離感を保ちながら他者と「共存」することが求められる。人間関係において過度に近づきすぎるから心に波が立つ。学校や教室はそうした多様な人とも共存できる場であるよう(それは教師と生徒の間柄でも同じ)、生徒の身と心の安全が保たれるような空間を最低限確保していきたい。

そしてその過程で、例えば私にとっては授業を通じて英語を面白いと思ってもらえたり、短期の留学などがきっかけで将来海外で活躍したいと一部の生徒に思ってもらえたら、それはもう満塁ホームランなのだ。